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本岡 隆文; 塚田 隆
Proceedings of 2014 Nuclear Plant Chemistry Conference (NPC 2014) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2014/10
福島第一原子力発電所(1F)では、2011年3月に海水が使用済燃料プールに注入された。ジルカロイ-2は1Fで燃料被覆管材として採用されているが、ジルカロイ-2を含むジルコニウム合金は、酸化性の塩化物水溶液で孔食の影響を受けやすい。本研究では、海水成分を含む水の放射線分解生成物が、ジルカロイ-2の孔食生起に及ぼす影響を調査した。線照射の前後に、海水成分を含有する水の組成変化を分析した。また、ジルカロイ-2の孔食電位測定を実施した。さらに、ジルカロイ-2表面に形成された酸化膜の特性をX線光電子分光法により評価した。海水成分を含む水の溶液分析では、線照射での過酸化水素の発生が示された。線照射下で皮膜形成したジルカロイ-2の孔食電位は非照射下のそれより高かった。ジルカロイ-2の酸化皮膜は酸化ジルコニウムであり、これは線照射中に厚くなることがわかった。線照射下で生成した皮膜を有するジルカロイ-2の孔食電位が高くなった原因は線照射下で酸化皮膜形成が進行することで説明された。
河村 弘; 蓼沼 克嘉*; 内田 勝秀*; 宮島 生欣*; 中田 宏勝
Journal of the Ceramic Society of Japan, International Edition, 97, p.1403 - 1408, 1989/00
一般的にセラミックスコーティングは、産業機械部品、圧延用ローラー等の表面処理として行われており、そのコーティング膜に種々の機能を持たせて用いられている。そのなかでも、特に水素ガス等による腐食雰囲気で腐食防止用膜としてコーティング膜を用いる場合には、より厳しく、しかも定量的なコーティング膜の欠陥率評価が必要になるが、そのような欠陥率評価技術は確率されていないのが現状である。一方、原子力分野、特に核融合開発の分野においても、構造材からのトリチウム透過防止、第一壁材の表面保護等あるいはトリチウム製造用照射容器材の水素脆化防止のためにセラミックスコーティングが行われようとしている。本論文では、特にトリチウム製造用照射容器材の水素脆化防止膜として考えられているセラミックスコーティング膜について行った各種欠陥率評価手法の検討結果を報告する。
星 三千男; 立川 圓造; 諏訪 武; 佐川 千明; 米澤 仲四郎; 富田 衛; 清水 道雄; 山本 克宗
Journal of Nuclear Science and Technology, 23(6), p.511 - 521, 1986/00
被引用回数:4 パーセンタイル:48.02(Nuclear Science & Technology)約280CのCWL-1ループ水に23日間浸漬したSUS-304およびジルカロイ-2試験片表面クラッドの性状を把握するため、X線回折法,X線マイクロアナライザー法,ICP法などで分析を行った。試験片表面の電顕観察結果は細い結晶の単独あるいは重なり合い付着を示している。結晶にはCr含量の多いもの、Fe含量の多いものなどが存在し、組成が一様ではない。特にジルカロイ-2にはCr含量の多い結晶が目立つ。SUS-304の場合、95%以上がMO型の結晶である。剥離法により、表面から外層,内層,酸化皮膜に分類すると、この順にCoの比放射値が減少する。外層はループ水中の不溶性クラッド,酸化皮膜は可溶性クラッドのCoの比放射能値に匹敵する。これらの結果から、ループ水中には組成および結晶形の異る様々の不溶性クラッドが存在し、それらの中で電気化学的相互作用によりMO型の酸化物が優先的に試験片に付着すると考えられる。
柳澤 和章; 斉藤 裕明*; 藤田 操
JAERI-M 82-155, 28 Pages, 1982/11
水炉、ジルカロイ被覆燃料棒は炉内照射中、中性子を吸収して脆性化し機械的弾性限を上げる。炉出力変動時、燃料棒は従って弾性的なふるまいをする。本報は炉内直径変化を経時的に18GWd/tUまで測定し、出力変動により発生した弾性的円周方向繰り返し応力と1)被覆管の疲労寿命、2)PCI-SCC破損との関連を調べた予備解析結果である。計算による解析結果によれば、軸力を考慮した棒をO'DONNEL設計曲線で評価した場合、出力変動幅42kw/m、発生弾性応力333MPaのとき、日負荷追従運転による疲労寿命は約8年となった。解析に用いた各燃焼度での棒の計算円周応力とハルデン過出力試験から得た計算円周応力を比較した。比較の結果、軸力考慮の棒は非破壊域にあった。最近の照射後試験の結果、棒は健全であった事が判明した。炉内では局所的に大きな弾性変形が出力の変動の席毎に発生したが、照射後試験ではその寸法変化が殆んど検出されなかった。
柳澤 和章
JAERI-M 7349, 28 Pages, 1977/10
JMTR、OWL-1ループを用い線出力400W/cm,で平均1720MWd/tまで燃焼させたATR用のジルカロイ-2被覆管の外観検査および照射によるクリープ量の実測値と計算値の比較を行なった。その結果下記の結論を得た。(1)被覆管の曲りは全長800mlにつき平均0.33mmであった。(2)被覆管の外圧による永久変形(クリープ変形)量は実測値で17m、計算値で25mであり(ともに直径減少)実測値は計算値を越えなかった。
井岡 郁夫; 加藤 仁; 小河 浩晃
no journal, ,
使用済み燃料プール(SFP)の冷却機能が喪失した場合、崩壊熱を有する使用済み燃料ピンは冷却水の蒸発に伴い水蒸気及び空気環境下に曝される。SFPのドライアウト時の燃料ピン酸化挙動は、温度傾斜場とそれにより発生する応力勾配のため、等温酸化と異なる可能性がある。そこで、軸方向温度傾斜場でのジルカロイ2被覆管の酸化挙動を調べた。酸化試験は、Arガス0.5L/minをキャリアガスとして飽和水蒸気中、600Cで実施した。軸方向の温度勾配は、約100C/cmであった。試験中に発生した水素ガス量変化はほぼ同じであったが、温度勾配のある試験では、水素発生量は若干増加した。酸化皮膜厚さ及び皮膜構造には顕著な差が認められなかった。温度勾配(100C/cm)のある場合でも、ジルカロイ2被覆管の酸化挙動はほとんど変わらなかった。
静川 裕太; 関尾 佳弘; 山県 一郎; 赤坂 尚昭; 前田 宏治
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1F)4号機で使用された軽水炉用燃料ロッドの上部端栓はZircaloy-2製ボルトとSUS304L製のナットで構成されており、ねじ部はすきま構造を形成している。そのため、事故時の緊急措置として投入された海水に一度晒されていることから、すきま部に海水成分が残留する場合、共用プールへの移送後においてもすきま腐食が進行し、燃料集合体の健全性に影響を与える可能性がある。本試験では、1F事故時の水質環境においてすきま腐食等が発生する海水浸漬条件を見出すことを目的として、SUS304LとZircaloy-2を組み合わせた試験片を用いてすきま再不動態化電位測定を系統的に実施した。その結果、SUS304Lの同種金属接触すきま試験片については、塩化物イオン濃度10ppm、液温50Cではすきま再不動態化電位は自然浸漬電位Espよりも卑となり腐食が進行する傾向を示したが、液温80Cの条件においては同種金属接触試験片、SUS304LとZircaloy-2の異種金属接触試験片ともにEspよりも貴となり、腐食が進行しない傾向を示した。